御修法(みしほ)に参勤して(第47話)

 比叡山延暦寺では、毎年4月4日から11日まで、御修法(みしほ)と言われる法要が都合7日間21箇座に渡り行われます。

今般、埼玉教区の代表として、その御修法に参勤させていただきました。4月3日に森川宏映天台座主猊下から、「七佛薬師大法」伝法を受け、4日から足かけ8日間、21箇座の法要に、新型コロナウイルスにも負けず、魔事なく出仕させていただきました。まことに有り難く、貴い体験させていただきましたことに、深く感謝申し上げます。

御修法(みしほ)は平安期、延暦23年(804)に、伝教大師最澄が弟子の圓澄に紫宸殿で五仏頂法を修めさせたことが由来と伝わる、天台密教最高の秘法であるとされます。

 また一説には、この七佛薬師大法は、慈覚大師円仁が入唐して相伝されたもので、嘉祥3年(850)に清涼殿で修されたのを嚆矢といたします。

 明治期の神仏分離令で中断しましたが、大正10年(1921)に再興され、今回で丁度100回目を迎えました。

 御修法(みしほ)には、「長日御修法(ちょうじつみしほ)」と「御修法大法(みしほたいほう)」の二種類があります。

 今般参勤させていただいた法要は「御修法大法」で、根本中堂の道場内に大壇(だいだん)、護摩壇(ごまだん)、聖天壇(しょうてんだん)、十二天壇(じゅうにてんだん)の四段壇を築いて厳修される天台密教の最高の秘法であります。

 国家国民の象徴である天皇陛下の御衣を根本中堂の内道場に奉安して、玉体安穏(ぎょくたいあんのん)、天下泰平(てんかたいへい)、万民豊楽(ばんみんぶらく)等を祈願して、天台座主猊下を大阿闍梨として、各門跡や宗内から選ばれた17名の碩徳高僧によって奉修されます。

 この大法には、(1)熾盛光法(しじょうこうほう)、(2)七佛薬師法(しちぶつやくしほう)、(3)普賢延命法(ふげんえんめいほう)、(4)鎮将夜叉法(ちんじょうやしゃほう)の四法があり、これらが毎年順次に法修されています。またこの他に、(5)安鎮家国法があり、復興1年目と、慈恵大師一千年大遠忌の際の2回行われており、「五箇の大法」と呼ばれております。

 本年の御修法は、「七佛薬師大法」が奉修されました。

 「七佛薬師大法」とは、玄奘訳『薬師瑠璃光如来本願功徳経』と、義浄訳『薬師瑠璃光七佛本願功徳経』の二経の所説に基づき、七佛薬師瑠璃光如来を本尊として奉修するものであります。

 薬師瑠璃光如来は、東方瑠璃光浄土の教主であり、十二の誓願をを立て、衆生を利益済度するものであります。

 七佛とは、(1)善名称吉祥王如来、(2)寶月智厳光音自在王如来、(3)金色寶光妙行成就如来、(4)無憂最勝吉祥如来、(5)法海雷音如来、(6)法海勝慧遊戯神通如来、(7)薬師瑠璃光如来といいます。先の六佛は第七の薬師瑠璃光如来の変化の尊身です。

 この七佛の形像を造り、一々の尊像の前に七灯を掲げ、五色の大幡と四十九流の小幡とを掛けて、七日七夜の間精進潔斎して、彼の如来を供敬礼拝し、焼香散華し、この経を読誦書写すれば、一切の厄難を離れることが出来ると説かれています。よってこの大法は攘災与楽、福寿増長を祈る最高の秘法とされております。

 

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